外資系金融マンの読書ブログ

外資系金融マンの読書ブログ。読んだら3倍考えるビジネス書評ブログ出張版。読書の要素はあまりない。

Read 500 pages every day.

That's how knowledge works. It builds up, like compound interest.

Shinという人のエクセルがひどい|低質なビジネスセミナーに注意

パチスロセミナーはさすがに下火だろうか

パチスロセミナーという詐欺

かつてはパチスロセミナーというものが存在した。パチンコやスロットでお金を稼げる方法を、数十万円の受講料で教えるという詐欺である。

パチンコはほぼすべてが運要素なうえ、絶対に店が損をしないマイナスサムゲームである。したがって、長期的に勝ち続けるというのは物理的にあり得ない。

このような「期待値」という単語も知らないような層に、高額の受講料を払わせるのがパチスロセミナーである。

ビジネスセミナーという詐欺?

最近は、「ビジネススキルが上がります」というようなセミナーが乱立している。

私はその手のものに参加したことがないのでわからないが、どうやら大したことのない人が、大したことない内容を扱っているようである。

しかも、受講料もばかにならないものだったりして、詐欺とまでは言えないが詐欺まがいのビジネスに見える。

自称コンサルが明らかにエクセル初心者だった

そのようなイメージを持っている中で、気になる記事を見つけた。

www.outward-matrix.com

書かれたのは結構前のようだが、はてなブックマークに最近掲載されていた。

この手の「エクセルスキル」は、知らないことは絶対に書いていないと思いつつもつい見てしまうもので、毎回のようにチェックをしている。

リンクを貼った記事は、その中でも特にひどいものだった。

経歴のマーケティング

世の中にはマーケティングというものがあり、多くの場合では事実かどうかが怪しいただの宣伝文句である。

経歴にもマーケティングの仕方はあるだろうから、都合の悪い経歴の一部を省略したり、下働きをしただけのプロジェクトのことを自慢げに語ったり、そういうものは構わないと思う。

世の中でも「『外資系コンサル』はほとんどの場合でアクセンチュア、『外資系金融』はだいたい外資系生保の営業」といわれることが多いようだ。

「PEファンドです」と言っている会社でも、実態は小規模にマイノリティ出資をしているだけということが多い。

いずれも間違ってはいないが、あえて過大評価を生むような書き方であるので、いわゆるマーケティングというものだろう。

経歴詐称と言われているが・・・

どうやら上に挙げたブログの執筆者は、東大卒?戦略コンサルタントを名乗っているが、下記のような経歴らしい。

あいつは俺と同じ2011年、慶應義塾大学の経済学部卒だ。戦略コンサルタントとして働いていたと書いてあるが、コンサル会社のIT部門にいただけで、お前は戦略じゃないのはみんな知ってる。同じ会社に同級生がいっぱいいるんだから、そんなのすぐわかるのに、なんでそんなこと書いてるんだよ。転職先のF社もリサーチ専門会社じゃないか。コンサルしたことないお前が、そこまでコンサルって嘘ついて名乗るほどの何かなのかよ。

https://anond.hatelabo.jp/20170619182921

これは微妙なライン。

詐称といっても「戦略コンサル」には定義がないし、コンサルをリサーチ会社として利用している会社は多い。

経歴詐称ではあるのだろうが、個人的には「コンサルってそんなもんでしょ」という認識だからそれほど違和感はない。マッキンゼーやBCGなら社名を出すだろうからね。

経歴はどうでもいいが、クソみたいな内容はどうにかしろ

さて、本題である。多少言葉は汚いが、あまりに内容がひどい。

個人的な価値観だが、努力しようとしている人を欺いて搾取しようとするような人は許容できない。

しっかりとスキルを磨こうとしているビジネスパーソンをだますようなセミナーは、パチスロセミナーよりもたちが悪い。

これが気になって記事に取り上げた。

どう考えても怪しいラインナップ

たとえば、上の記事には下記のようなものが掲載されている。これが「37選」に入るらしい。

Ctrl + Y:直前の作業繰り返し

Ctrl + ;:当日の日付入力

すごくテクニカルな話だが、「直前の作業繰り返し」はF4キー単体でできるので通常はF4キーを使う。1キーでできることを、Yという一番押しにくいキーで代替する必要はない。

また、請求書を整理する業務でもなければ、日付は関数で入力するのがふつうだから、Ctrl ;を「ぼくが実際に毎日仕事で使っているショートカットのみ」と説明するのは怪しい。

続いてはAlt系列のものだ。毎日仕事で使うショートカットとして次のようなものが書いてある。

Alt → H → V → S:特殊貼り付け画面表示

Alt → H → S → F:フィルタ追加

Alt → H → D → D:対象セルデリート

Alt → H → I → E:行および列追加

Special PasteならCtrl Alt V、フィルタ追加ならCtrl Shift L、セル削除はCtrl -、セル追加はCtrl +を使う。Shin氏が毎日使っているらしいショートカットはまず使わない。

コンサル業にせよ金融業にせよエクセルはよく使うので、外資系企業なら1年目社員でもこれらを覚えていない人はいない。

事業会社の人の感覚とは異なるかもしれないが、上のようなショートカットを挙げてしまう人のレベルは、仕事では一切エクセルを使っていないのではないかと思えるくらいなのだ。

コンサルへの風評被害

念のため補足するが、実際の戦略コンサルタントはこんなに低レベルではない。

本当に尊敬している友人も多く勤務しているし、特にマッキンゼーのコンサルタントで優秀でない人は知らない。

1年足らずでやめてしまった人や、上のような自称コンサルのせいで「コンサルってエクセルを使う人でしょ?笑」のようにいわれることが増えてきたようだ。

しかし、エクセルスキルはあくまで頭を使わない作業を極限まで短縮するための手段に過ぎない。本業は作業を短縮した後の思考にある。

もっとも、上の自称コンサルタントは作業すら短縮できていなさそうだが。

よいビジネスセミナーを選ぶのが肝心

最後に、ビジネスセミナーの中にも良いものがあるということを書いて終わりにしたい。

ビジネスセミナーに対する批判や、ビジネス書を書いている自称コンサルタントへの批判を書いたが、ビジネスセミナーやビジネス書にも良質なものはある。

私の知るところでは熊野氏(モルガン・スタンレー出身者)のビジネスセミナーは良質らしい。他にもいろいろあるだろうから、すべてが悪いものだと思い込んで、セミナーで学ぼうとするのをあきらめないでほしい。

質の高い指導を受けると、実力というのは見違えるように伸びる。逆に、上の人のような低質なものに惑わされると伸びるものも伸びない。

誰かの指導をあおぐという姿勢は間違いなく正しいのだから、ハズレにあたって失望しないでほしい。

おまけ(セミナー講師のスキルの裏側)

金融専門職の人は、Capital IQというサービスを使っている可能性が高い。

Capital IQの入ったエクセルでは100個ほどの追加的なショートカットキーを利用でき、ほとんどの操作はCtrl/Alt/Shiftの組み合わせ+1キーで実行できる。

150個ほどのショートカットを使いこなしているのは事実だが、Altキーから3キーほどクリックするショートカットはほぼ使わない。

つまり、セミナーの講師が自慢げに「Altキーを使って作業を効率化」などと語っている場合でも、それは金融機関にいたときに覚えたものではなく、セミナーを開催するために新たに覚えたものなのである。

まあ、これもまたマーケティングの範疇だろう。セミナーの受講者はCapital IQを使用できる環境じゃないだろうし、大事なのは内容の質であって宣伝文句が事実かどうかではない。