外資系金融マンの読書ブログ

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ヤマトHDの危険な現状と潜在的な成長可能性

宅配便の荷物は増える一方である。それは消費者が決めることだ。

値上げをしたが荷物が減らなかったヤマトHD

少し前だが、ヤマトHDが値上げに踏み切って話題になっている。搬送能力が限界に達しており、受領する荷物を減らす意味合いもあったそうだ。多くの場合で値上げは受け入れられたようだが、想定していたよりも荷物を減らすことはできなかったようである。

ヤマトHDの経営に対していろいろ思うところはあるのだが、この強気な姿勢に対しては、個人的にはとても評価したいと思う。

ヤマトの配送の品質は高い。良いものを安く売ってしまうのは日本企業の良くない慣習だ。消費者はサービスの品質が担保される限り高いお金を支払うし、企業は良いサービスを提供する限り十分な儲けを出せる。そして、高く売って儲けたお金でより良いサービスに投資すべきである。

日本が誇る高品質物流企業として、ヤマトHDにはぜひ頑張ってほしい。

長期的には明らかに成長する物流業界

日本のEC化率はせいぜい5%やそこらだ。これは体感としては明らかにおかしい。

うぬぼれるわけではないが、私は日本の平均と比べるとITリテラシーが高い部類だと思う。もっと言えば、私だけではなく「はてなブックマーク」を使うような層は確実にITリテラシーが高い部類だ。

私たち「ITリテラシーが高い部類」ではない人たちに着目してみるとどうだろうか。田舎に住む60歳手前の専業主婦――私の母――が、つい最近「はじめてAmazonで買い物をした!」と自慢してきた。1年ほど前に買ったiPhoneでようやく慣れてきたLINEを使っての報告だ。オフラインで会うことはほぼないので実態はわからないが、両親の世帯のEC化率は1%にも満たないだろう。

一方で、私たち「ITリテラシーが高い部類」の人たちはどれくらいECを利用しているだろうか。自分のことを思い浮かべると、消費の過半はECだと思われる。食事こそ近所のレストランやコンビニで消費をするものの、残りはほとんどがECでの購買だ。

私服はユニクロ・オンラインで買う。採寸のいるスーツはオフラインで購入するが、シャツは鎌倉シャツを公式通販から買えばよい。日用品のほとんどはAmazon定期便で届くし、そうでないものはAmazonパントリーで購入する。ここ1年ほどは、サプリメントなどもドラッグストアで買った覚えがない。秋葉原が近いこともあってパソコン関連のものはオフラインで物色するが、実際に購入しているのは価格コム経由がほとんどだろう。書籍はKindleだし、飲み物は箱単位でAmazonで購入する。

部屋を見渡してみても、机の上にある缶コーヒーをセブン・イレブンで買った程度で、そのほかにはオフラインで購入したものが見当たらない。パソコンもスマホも衣服も家具もECで購入している。食事を除くEC化率は90%を超えているといっても誇張ではないだろう。

みなさんの中でも、これくらい「EC化率」が高い生活をしている方は珍しくないのではないか。

遅くとも、デジタルネイティブ世代が親世代になるころには、家庭の支出のほとんどがECになっていてもおかしくない。EC市場ひいては宅配業界は、少なめに見積もっても10倍以上に成長するといえるだろう。

物流が成長したとき、ヤマトHDは成長するのか

これだけ成長が見込まれる業界において、競争が激化しないというのは無理がある。既存の3社(ヤマトHD、SGHD、JP)だけでなく新たなプレイヤーが生まれるだろうし、バイクやトラック以外での輸送手段が急成長するかもしれない。

ドローンなどというと流行に乗っただけに見えるかもしれないが、歴史が明らに示しているように、ニーズのあるところには必ず発明が起こる。

「AmazonがAlexaを搭載したドローンで配送し、受取人とコミュニケーションをとるようになる」という状態はさすがにSFの部類になるだろうか。私はテクノロジーに楽観的なので、そう遠くない将来にそういう状況が訪れると考えている。

さて、ヤマトHDが成長するかどうかは、ヤマトHDが成長したいかどうかによると思う。ヤマトHDが自社を「トラックでの配送会社」などと捉えていたら成長は難しいかもしれない。一方で、「人類の生活を物流から支える」くらいの考えを持っていれば化けるだろう。

私は、ヤマトHDが自動運転を進める会社に出資したり、ドローンの研究開発に取り組んだりするのであれば、ECが成長する環境で大きな成長をとげるのではないかと考えている。

宅配業界もまた、まだまだ目が離せない。

最後に、ヤマトHDの理念を引用して終わりにしたい。

ヤマトグループは、社会的インフラとしての宅急便ネットワークの高度化、より便利で快適な生活関連サービスの創造、革新的な物流システムの開発を通じて、豊かな社会の実現に貢献します。

ヤマトホールディングスウェブサイト「グループ企業理念」 http://www.yamato-hd.co.jp/company/philosophy.html