外資系金融マンの読書ブログ

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伊藤直也氏が不倫した理由を考えたら、不正会計と同じだった

不倫にせよなんにせよ、実行されるまでにはいくつかのハードルがあるはずである

ことの顛末

3行サマリ

  • 起業家の奥さんを持ち、顧問業や講演でも活躍していた伊藤氏が不倫

  • 「彼女は非常に知性的で(中略)魅力を感じていました」

  • 「私に相談することがあり、それをケアするようになって」

その他の詳しい部分については、文字通りいくらでも出てくるだろうから省略した。

不正会計が行われる原因は3つに集約されるといわれる

2つのブログを読んで感じたのは、企業の不正と似ているということだった。

企業の会計などにかかわる職業の人は必ず教わると思うが、不正会計などが行われる原因は3つであるといわれる。

  • 動機: 業績を良く見せることで昇給や昇進などがある

  • 機会: 管理体制がずさんで、財務・会計に関する権限がある

  • 正当化: 「これも従業員や株主のため」と錯覚しはじめる

これは粉飾決済を含む企業の不正の原因とされるものであり、疑う余地はひとまずない。

さて、くだんの不倫の話と見比べて何か気づくところはないだろうか。不倫が行われる背景も、まさにこの3つなのである。

不倫の動機と不正の動機

私の知り合いにも浮気性の人はいるのだが、浮気をする可能性がある人と、浮気を絶対にしないという人とでは決定的に異なる点が1つある。

浮気・不倫をしてしまう人は、そもそも日ごろから「浮気したいけど我慢している」と考えている節がある。少し対象を変えれば、万引きしたいけど捕まるからしない、腹が立つと暴力をふるいたくなるけど我慢している、といったものと同じだ。多くの場合で「悪いことだから我慢をしているが、本当はやりたい」という発想が背後にある。

一方で、絶対に不倫をしないような人は、そもそも不倫をしたいと考えていない。腹が立っても暴力をふるいたいとは思わない人がいるのと同じように、刑事事件ではないとはいえ不法行為である不倫について、「不倫をしたい」という発想が出てこないのである。

さて、不正会計の場合はどうだろうか。

経理や財務に携わる人は感覚としてわかるだろうが、業績が落ち込んだときに「今期は業績が落ち込んだなあ」の次に「できることならごまかしたいな」という発想にはならない。

良心的な感覚の持ち主であれば「今期は業績が落ち込んだなあ」の次に来るのは「この部署が成績を落としているから、事業の責任者にヒアリングしたほうがいいんじゃないだろうか」といった考えだろう。

業績が落ちたときに「不正をしたいけど我慢する」という発想は、個人的な感覚で申し上げれば極めて不自然な考え方である。

不倫の機会と不正の機会

さて、伊藤氏の場合は、配偶者が起業したばかりで多忙だったという点と、自身が顧問業や講演などを多く引き受けており外出先での時間的余裕があったという点があげられる。これが不倫の機会となったのだろう。

我慢しているという発想になるのが私には理解できないのだが、我慢している人が我慢し続けられるのは機会がないからである。

不倫なら不倫をする機会や契機がないから、不正なら不正をする機会や権限がないから、我慢し続けられるのだ。

東芝が不正を行った背景には、「財務部門の責任者というポストが、役員となるための登竜門だったから」という機会の側面があるといわれている。実際にはどのくらいこの慣習の影響があったかは知らないが。

あと少しで常務や専務の席にたどり着けるときに、粉飾決済を行おうと思えば行える地位・権限を与えられてしまう。日ごろから「決算をごまかせば成長している企業に見えるのになあ」と思っているような人が、ここで機会を手にするのである。

不倫の正当化と不正の正当化

東芝の粉飾決済がどう正当化されていたのかはわからないが、「業績が落ちると株主にも迷惑をかけてしまう」だとか「この部門の業績が上がらないと、子会社で大規模なリストラが必要になる」とか、そういった考えがあったのではないかと思う。

もしくは、費用の計上時期をずらすような不正会計においては「将来利益が伸びたときに、利益を過少に計上すればつじつまが合う」などという正当化が行われる可能性もある。

いずれにせよ、何らかの正当化のもとで不正が行われると考えるのが自然だろう。純粋な悪事だと考えたまま悪事を行えるほどには、人間の心はくすんでいないと思う。

さて、伊藤氏の不倫ではどうだろうか。

くだんのブログの記事は全体をとおして「こうするのが A さんのためになると思った」という自己弁護で成り立っている。自分のためとは書いていない。

はてなブックマークのコメントでは、このような弁解を「保身」と批判している人が多く見受けられるが、おそらく弁解の本質は「正当化」にあるのではないかと思う。

仮に、本人の中で一切正当化できない状態だったとしたら、もっと早くに関係が解消されただろう。

広義の「悪」に対処するために

ものごとを無理やり関連付けるのは好きではないのだが、この「不正のメカニズム」はかなり広い範囲で応用ができるように思える。

不倫や不正にはじまり、違法な残業や学校でのいじめなどもこのメカニズムで起こるのではないだろうか。おおかたの犯罪行為も、このメカニズムでとらえて大きな間違いにはならないように見える。

さて、もしあなたが広義の「悪」を駆逐しなければならない立場にあるなら、その原因を3つに分けて対策すると、より効果的になるかもしれない。